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FXにかぎらず、投資では相場環境の判断が重要です。トレンドが発生しているトレンド相場なのか、トレンドが発生していないレンジ相場なのか。
順張りか逆張りか、どちらの分析手法を使うかも、トレンドの有無や強さを判断できないと有効には使えません。
相場判断に何を使うか?FXトレーダーでは、ダウ理論を活用している人が多いですね。単体で使うには難しいので、基本をおさえて補助的に使うと良いと思います。
ダウ理論とは、リチャード・ダウが『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に寄稿した論説を基に考えだされたテクニカル分析の理論です。
リチャード・ダウとは
リチャード・ダウ(1851 - 1902)はどんな人かと言いますと、アメリカのジャーナリストで、ダウ・ジョーンズ社を設立したことで有名です。
ダウは、もともとNY証券取引所での相場に関する記事を主に担当していました。その経験から1882年にダウ・ジョーンズ社を設立してニュースレターを配布、それが発展して、後に「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙となっていきました。
テクニカル分析の先駆者の一人と言われています。
もともと株式市場の分析方法として考えださました。FXで使えない法則もありますが、逆に同じ相場なのでFXでも力を発揮する法則もあります。
「理論」という言葉から、具体的なテクニカル分析手法ではなく抽象的な投資論で実際の売買には使えないのではないかと思われるかも知れません。でも、勝ち組の中にもダウ理論を分析に取り込んでいるトレーダーは多いので、習得して上手に売買判断に取りこんで活用しましょう。
これからダウ理論の6つの基本法則について、ひとつずつ解説していきます。
経済指標や企業業績だけでなく、テロなどの突発的な出来事まで、ファンダメンタルの材料はすべて市場価格(レート)に織り込まれているということです。
極端に言ってしまえば、テクニカル分析はファンダメンタル分析もフォローしているという考え方がダウ理論の基本となっていると言えます。
ダウ理論では、相場には「主要トレンド」「二次トレンド」「小トレンド」の3つのトレンドがあるとされています。
1.主要トレンド
1年から数年にわたる長期的なサイクル
2.二次トレンド
3週間から3カ月にわたる中期的なサイクル
3.小トレンド
3週間未満の短期的なサイクル
主要トレンドは市場参加者の動向によって、3つの段階に分けられるとされています。
1.価格が悪い材料をすべて織り込んだと判断して、市場参加者の一部が「底値買い」をはじめる段階。
2.価格が上昇していくのを確認して、他の市場参加者が追随して買っていく段階。当然価格はさらに上昇していく。
3.価格がさらに上昇して、最初に買い始めた市場参加者が利益確定しはじめる段階。価格は上昇しているものの、上昇幅が小さくなっていく。
1種類の株価平均だけでは判断に誤りが生じる可能性が高いので、2つの株価平均でシグナルを確認する必要があるということです。(ここで言う株価平均は、ダウ工業平均株価と運輸株平均)
一方でしかシグナルが確認できない場合は、明確なトレンドとして捉えることはできず、逆にほぼ同時にシグナルが発生した場合は、信頼度の高いトレンドと言えます。
FXは取引所で行われている取引ではなく、出来高を確認することはできませんが、ダウはトレンドの状態を判断する材料として出来高も重視しています。
トレンドに沿ったポジションを持つ人が大勢を占めるという考え方が基になっており、価格の上昇局面では、値上がりすると出来高が増え、値下がりすると出来高が減り、下落局面では、出来高は逆の動きをすると考えられています。
トレンドが発生すると、明確な転換シグナルが確認できるまで持続するとされます。
ダウは、一旦トレンドが確認できると、シグナルが出てトレンド転換が確認できるまでは、トレンドに追随していくという順張りのスタンスをとっています。他の相場に比べて、FXはトレンドが持続しやすいと言われているので、このダウ理論の考え方はFXに適していると言えそうです。
ここまでダウ理論の骨格となる基本的な法則・考え方を紹介しました。ここからは、実際にダウ理論を売買判断に活用する方法を紹介していきます。
6つの基本法則を見ていくと難しい理論のように感じてしまいがちですが、ダウ理論で定義されているトレンドの条件はいたってシンプルです。
【上昇トレンド】
連続する高値安値がそれぞれ前の高値安値より上であること。つまり、高値安値を切り上げていると上昇トレンドだと言えるということです。
【下降トレンド】
連続する高値安値がそれぞれ前の高値安値より下であること。つまり、高値安値を切り下げていると下落トレンドだと言えるということです。
ダウ理論の考え方に沿ったエントリーポイントは、いくつかあります。
①安値で切り返し、反発したポイント
底値買い、つまりトレンド発生初期の段階でのエントリー。ただし、ダウ理論ではトレンドの確認ができていない状態なので、ここからのエントリーはリスクが高くなります。
②前回高値を更新したポイント
高値を切り上げてきたので上昇トレンドになっている可能性が高いと踏んでのエントリー。ただし、①と同様にダウ理論では高値を切り上げただけでは上昇トレンドの発生を確認したとはいえないため、ここからのエントリーもリスクが伴うと言えるでしょう。
③前回安値より上で反発したポイント
前回の高値安値それぞれ切り上げたところでエントリー。ダウ理論で言う上昇トレンドの定義にあてはまってトレンドの確認ができているため、一番リスクの低いエントリーポイントとなります。
基本法則6に「転換シグナルが確認できるまで、トレンドに追随する」とあったように、反対のトレンドを確認した時点が決済するタイミングです。
買いの場合は上昇トレンドから下落トレンドに転換したのを確認した時、売りの場合は下落トレンドから上昇トレンドに転換したのを確認できた時が決済のポイントとなります。例えば、買いポジションを持っていた場合、前の高値安値をそれぞれ下回ってきたら下落トレンドに転換したから決済、というようするということです。
具体的なエントリー、決済ポイントは難しくありませんよね。すぐにでも、トレード手法に組み込めると思いませんか?
ただ、使う前に、ダウ理論の欠点というか、弱点を知っておく必要があります。何でもそうですが、一長一短があります。欠点を知らないと痛い目にあうかもしれませんから、欠点も含めて覚えておきましょう。
以下のチャートを見てください。
高値安値を切り上げて上昇を続けています。ダウ理論に基づいた上昇トレンドの確認ができているので、大きな利益になっています。
もう1つ、以下のチャートを見てください。これは、上のチャートの続きです。
一度大きく下げたものの安値更新はせず、再度高値更新。ここまでは上昇トレンド継続と言えます。しかし、そこから再度下落し、直近安値を割りました。ここで上昇トレンド終了と判断すると、20円近く下げてから決済することになります。
FXで使うダウ理論の欠点、それは「シグナルが遅い」ことだと思います。複数の基本法則を使うことで、精度を高めたり、判断スピードを早めることはできるのかもしれません。でも、FXでは出来高を知ることはできませんし、精度を高めるための複数の株価平均のような指数はありません。
欠点をふまえて、どのように使えば良いのでしょう?
解決法はシンプルで、ダウ理論の欠点を補えるテクニカル分析とあわせて活用すればいいのです。具体的には2つあります。
1つは、出来高の代わりになる指標を併用すること。
ダウ理論では、出来高をトレンド判断の重要な材料と考えます。トレンドに沿ったポジションを持つ人が大勢を占めるという考え方で、出来高の動きもトレンドに比例して強弱があるはずだということですよね。
ですから、トレンドの勢いを判断できるボリンジャーバンドやADXで代用可能なはず。ボリンジャーバンドは中央の移動平均線の傾きと、バンド幅の拡散、収束でトレンドの勢いを見ます。ADXはトレンドの強さを数値化した指標です。
もう1つは、シグナルの早いテクニカル分析を組み合わせることです。
ダウ理論は、ダマシは少ないですが、シグナルの発生が遅い。そこにダマシは多いけど、シグナル発生のタイミングが早い指標をあわせて使うことで、大きな流れの一部を確実に刈り取っていくことができると思います。
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